乳がんのマンモグラフィ検査は痛いの? 定期的に受診するべき理由とは
乳がんは早期発見し治療を受けた場合の10年生存率は、90~95%と言われています。したがって定期的な検査が欠かせません。検査方法はいくつか種類がありますが、その中でも特に推奨されているのが「マンモグラフィ検査とエコー検査」です。
今回はマンモグラフィについてお話しします。マンモグラフィ検査はその検査内容から「とても痛い検査」というイメージを抱いている人も少なくありません。そこで今回はマンモグラフィ検査の概要とその必要性についてまとめていきます。
マンモグラフィ検査とは
マンモグラフィ検査は「乳房エックス線検査」ともいい、乳がん専用のレントゲン検査であることから、放射線による被ばくのリスクはゼロではありません。ただ、乳がんの1次検査においてはその有効性が科学的に立証されており、特に乳がんのリスクが最も高い40歳以上の女性に対しては、マンモグラフィ検査を受けるメリットがリスクを上回っています。そのため40歳以上の女性に対して、2年に1回のマンモグラフィ検査による乳がん検診の受診が推奨されています。
※出典:厚生労働省「胃がん・乳がん検診に関する指針の改正について」
マンモグラフィ検査と「石灰化」
マンモグラフィ検査では「石灰化」した病変を描出することで、他の方法では難しいとされるがんの発見が可能です。このような「微細石灰化病変」は、マンモグラフィ検査で描出すると白い点のように映ります。
30代以下の女性とマンモグラフィ検査
30代以下の女性がマンモグラフィ検査を受けることで、乳がんによる死亡率が低下するかは科学的な根拠が明らかになっていません。しかし、血縁者に、複数の乳がん患者がいる方はしっかりとした乳がん検査が必要になります。
マンモグラフィ検査の種類
マンモグラフィ検査は乳房を挟む位置によって「MLO(内外斜位方向)」と「CC(頭尾方向)」に分けられ、検診では片方の乳房を複数の方向に挟んで検査を行います。
■MLO(内外斜位方向)
少し斜めの縦方向に挟んで撮影する方法です。乳房の内側から斜め下に向けて圧力を加えることで、乳房を広く描出します。
■CC(頭尾方向)
上下方向から挟んで撮影する方法です。乳房を上下に挟み、上から下に圧力を加えます。一般的に、MLOでは描出できない領域の撮影を補助する目的で行います。。
なぜマンモグラフィ検査は痛いのか
マンモグラフィ検査はエックス線撮影を行う際、乳房を2枚の透明な板で挟み、薄く広げる必要があります。一般的には厚さ4~5cm、片方につき1回あたり10秒程度圧迫します。その時に痛みが伴い、人によっては痛みを感じてしまうケースがあるのです。
乳房を挟み広げる理由としては、全体をむらなく鮮明に撮影でき、また必要な放射線量を少なくできるというメリットが挙げられます。そのため、がんを見落とさないための効果的な検査方法です。痛みがあってもこのようなマンモグラフィ独特の検査方法を理解できれば少し前向きな気持ちになれると思います。。
■マンモグラフィ検査で乳房を圧迫する理由
・乳腺を広げることで腫瘤性病変を見つけやすくする
・乳房全体を均一に広げることでむらをなくす
・ぼけや不鮮明な画像の防止
・呼吸や体の動きによるブレなどの防止
痛みには個人差があるものの、一般的には耐え難い痛みが長時間続くことはありません。ただ前述の通りマンモグラフィ検査は複数回、乳房を挟んで撮影するため、あまりに痛い場合は、無理せず担当の放射線技師に相談して適切に対処してもらいましょう。
乳房超音波検査とマンモグラフィ検査の違い
乳がん検診において、マンモグラフィ検査と比較されることが多いのが「超音波検査(エコー検査)」です。
乳房超音波検査は、超音波を乳房に当てて反射した音波を映像にし、腫瘤などの有無をチェックする方法です。ベッドに横になり、超音波探触子(プローブ)を乳房に当てて検査します。痛みの有無という観点ではマンモグラフィ検査と比べると、大きなメリットがあるといえるでしょう。
ただし、超音波検査とマンモグラフィ検査ではそれぞれ検出しやすい症状が異なるため、優劣だけではなく個人の年齢や状態によって適切に受診する必要があります。
■マンモグラフィ検査と乳房超音波検査のメリット・デメリット
マンモグラフィ検査 | 乳房超音波検査 | |
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メリット |
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デメリット |
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年齢や状況に合わせた適切な検査を行いましょう
マンモグラフィ検査の概要と痛みについて解説しました。一般的にマンモグラフィ検査は40歳以上、超音波検査や触診は40歳未満の女性に対して定期的な受診が推奨されています。ただし、妊娠などの個人の状況や環境によって、適切な定期検診を選ぶ必要があるでしょう。