知っていますか?乳がんは女性がかかる「がん」第1位。
知っていますか?乳がんは女性がかかる「がん」第1位。罹患数は世界最多。
女性の9人に1人は乳がんになる、と言われているのを知っていますか?
元々、女性が予防や早期発見すべき病気である乳がんですが、近年、国内外でその要注意度は特に強まっています。
そこで、公的な調査などの数値をもとに乳がんの最新の傾向などをまとめました。
どのくらい乳がんは女性にとって注意しなければならない病気なのか、ぜひこの機に再確認してみましょう。
データと順位で読み解く乳がん
乳がんに関するデータは、国立がん研究センターの「最新がん統計」で公開されています。死亡数や罹患数、生存率などが他のがんと比べてどうなっているのでしょうか。2021年2月17時点のデータをもとにまとめたので、まずは全体を確認してみましょう。
主な乳がんに関するデータと順位
順位 | 率または数値 | |
罹患数 | 1位 | 91,605人 |
死亡数 | 5位 | 14,839人 |
部位別のがん罹患率 | 1位 | 140.8 |
累積罹患リスク | 1位 | 9人に1人 |
生存率(5年) | 3位 | 92.3% |
生存率(10年) | 3位 | 79.3% |
他のがんと比べると、どれも数値や順位が高いことが分かります。
それではそれぞれの傾向や特徴をもう少し詳しくまとめてみましょう。
女性のがんでもっとも罹患数が多い「乳がん」
乳がんは女性の罹患数がもっとも多いがんです。先ほどのデータが掲載されている国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、2017年の罹患数は91,605人で1位になってなっており、約9人に1人の女性が生涯に乳がんを罹患するリスクがあるとされています。
一方、乳がんの生存率は他のがんと比べると高めで、乳がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合は92.3%で甲状腺、皮膚がんに次ぐ3位です。
この理由としては、0~Ⅳ期まである「病期(ステージ)」のうち初期の0、Ⅰ期の罹患数が特に増えていること。そして、乳がんの予後(治療後の経過)は他のがんと比べると良い傾向が挙げられます。
2019年の死亡数は14,839人で肺、胃に次ぐ5位であることからも、適切な治療を早めに行うことで生存率を高められることが分かります。
40代で発症する人が最も多い
一般的にがんは、60歳を超えてから罹患者数が増加する傾向があります。ただ、乳がんは30代後半から40代にかけて発症する人が急増することが特徴です。
年齢 | 数 | 率(人口10万人対) |
25~29歳 | 274人 | 8.565 |
30~34歳 | 895人 | 24.554 |
35~39歳 | 2,886人 | 69.561 |
40~44歳 | 7,297人 | 150.177 |
45~49歳 | 10,040人 | 231.123 |
50~54歳 | 8,941人 | 223.813 |
罹患数の数字を確認すると、若年層から定期的な検診が必要な理由がよく分かるのではないでしょうか。
とはいえ、若い人だけでなく閉経後に乳がんを患う人も増加傾向にあり、現在では閉経前と同じくらいの罹患数になっているので、少なくとも胸のセルフチェックは年齢に関わらず行うべきでしょう。
痛みや腫れを感じたら、「乳腺外来」のある病院で診療を受けましょう。
2020年、世界の乳がんの患者数が最多に
乳がんの患者数が増加しているのは、日本だけではありません。2020年、WHOやアメリカの医学誌が「女性の乳がんの患者数の推計ががんの全症例を占める割合の最多になった」と発表しました。
2020年で新しく乳がんと診断された女性の症例は約230万例で、全症例の11.4%を占めました。これまでの20年間、最も大きな割合を占めていたのは肺がんでしたが、2020年は約220万症例と乳がんと約10万症例ほど少ないと推計されました。
このように、世界的に乳がんの患者数は増えており、特にアメリカでは日本よりも罹患率が高く、全女性の8人に1人の割合で乳がんにかかる恐れがあるといわれています。
異常に気づいたら早めに乳腺科を受診しましょう
乳がんの罹患数の多さや罹患率の高さから、女性にとって注意すべき病気であることを再確認していただけたでしょうか。
その一方で生存率は高く、早めに発見して治療すれば治る病気であることも覚えておきましょう。
30代前半の人もセルフチェックが重要です。乳がんは良性の乳腺症など、色々な種類があるので一般の人が区別を付けにくいものもあります。
異常を感じたら自分で判断せず、早めに乳腺科を受診しましょう。