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乳がんの早期発見につながる! PET-CT検査、PEM検査、乳房PET検査の特徴

乳がんは早期発見・早期治療できれば、死亡リスクを大きく低減させることが可能です。そのために必要なのが「乳がん検診」です。乳がん検診を定期的(2年に1回程度)に受けることで、治療費の削減、治療期間の短期化、乳房温存治療が可能といったメリットがあります。乳がん検診にはいくつか種類があり、今回はPET-CT検査、PEM検査(乳房PET検査)について解説します。

体の負担が小さい「PET-CT検査」

PET-CT検査は、従来の検査に比べて体の負担が小さいことに加え、より小さながん細胞を見つけられやすいのが特徴の精密検査です。通常のPET検査と同様、ブドウ糖類似PET検査薬(FDG)を体に投与し、がん細胞に「目印」を付けることで発見につなげる仕組みです。また、PET-CT検査は通常のPET検査に加えて人体の輪切り画像を撮影するCT検査とPET検査を組み合わせ、両者の画像を重ねて画像診断することで、がんの有無や範囲などをより正確に把握しやすくなります。

基本的にPET-CT検査は、一度にほぼ全身を撮影できるので、乳がんだけでなく全身のがんや悪性リンパ腫の検査に用いられます。脳や心臓、胃、腸といったブドウ糖が集まりやすい部位はPET検査によるがんの発見が難しいとされていますが、乳房はそのなかに含まれていません。

また、PET検査に用いる「FDG」には放射性フッ素が付加されています。被ばくが気になる人もいるかもしれませんが、国立研究開発法人国立がん研究センターによるとFDGから放出される放射線量は3.5mSv(ミリシーベルト)で、通常、人体に影響があるとされている100mSvよりもかなり低いです。ただし、胎児が放射線の影響を受ける可能性があるため、妊娠している人や可能性がある人は必ず、事前に医師に共有してください。

※出典:国立がん研究センター「PET検査とは

乳房に特化した「乳房PET検査(PEM検査)」

前述したPET検査やPET-CT検査は、基本的に全身のがんを見つけるのが目的であり、CT検査で各部位の精度を高められるとはいえ、乳房にある小さながんの発見が難しいケースがあります。そこでPET-CT検査と合わせて行うことがあるのが、「乳房PET検査」です。乳房PET検査はPEN(positron emission mammography)検査や乳房専用PETなどと呼ばれることもあります。

マンモグラフィ検査を行う際、通常であれば乳房を板で圧迫して薄く伸ばさなければならず、人によっては大きな痛みを感じるケースがあります。一方、乳房PET検査で使用するマンモPET装置(リング型)であれば乳房を挟む必要がなく、両側の乳房の検査にかかる時間は15分程度なので体に負担が少ないのが大きなメリットです。また、豊胸手術をした人でも検査に影響はありません。ただ、胸壁に近い乳腺の評価は難しく、PET-CTのような画像は得られないといった特徴もあるので、他の検査と組み合わせて行うケースが多いのです。

ちなみに乳房PET検査で用いる装置にはリング型のほかに、通常のマンモグラフィ検査のように乳房を挟む「対向型」もあります。ただ、こちらも圧力はマンモグラフィよりもかなり低いため痛みも小さいです。

■乳房PET検査(PEM検査)の流れ

最初に問診を行い、全身のPET検査と同じようにFDGを注射します。30分程度安静にして薬剤が行き渡った後、PET-CT室で撮影します。その後、体内のFDGを減衰させるために安静にすれば検査終了です。

■乳房PET検査(PEM検査)のメリット

乳房PET検査のメリットは触診では発見が難しい4mm程度の小さながんや、マンモグラフィやエコーでは見つけにくい非浸潤性の乳がんを発見しやすいことです。さらに乳腺の張り、月経、豊胸手術の有無が検査に関係ないのもメリットといえるでしょう。

■乳房PET検査(PEM検査)のデメリットと注意点

乳房PET検査も通常のPET検査と同様、FDGを投与するため妊娠中の人には適していません。また、乳房PET検査の検査機器を導入している医療機関は、マンモグラフィやエコーの装置と比べると少ないです。さらにマンモグラフィやエコーと比べると検査費用が高めなのも注意が必要です。

適切な頻度・方法で乳がん検診を行いましょう

乳がんはステージ0期で発見できればほぼ100%、1期でも90%の治癒が見込めます。ただ、ステージ0期、1期では乳がんはほとんど症状がありません。乳がん検診には今回紹介したPET-CT検査、PEM検査以外にも、超音波検査などさまざまな検査方法があります。早期発見につなげるためには、これらの検診を定期的に行うことが重要なのです。