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乳がんの診断がつくまで、どんな診察や検査を受けるの?

「あなたの病気は●●です」と医師からはっきりと診断されることがあります。これを確定診断といいます。乳がんを確定するまでには、セルチェックから問診、画像検査、細胞診など様々な検査が行われます。「乳がんかもしれない」という不安のなか、初めて体験する検査をたくさん受けることに不安を感じてしまう女性は少なくありません。

そこで今回は、乳がんと確定診断されるまでの流れと主な検査方法について紹介します。検査の目的や方法を事前に知っておくことで、緊張や不安の解消につながるのでぜひチェックしてください。

乳がん検診の流れ

乳がん検診を受けるために、乳腺外来を訪れる女性のきっかけは「セルチェックや普段の生活時の違和感」などが多いようです。
問診、視触診検査、画像検査(マンモグラフィ、超音波検査)などでしこりや石灰化が見つかった場合、さらに詳細な細胞診、組織診を行い、確定診断が下されます。
その後、がんの広がりの程度を確認するためにMRIやCT、PETによる遠隔転移の有無をチェックして治療へと進むのが一般的です。

乳がんの検診1:問診

最初に5分程度、医師からの質問に回答する「問診」が行われます。事前に問診票やpadの自動問診で質問事項に答えること医療機関もあります。問われる内容は、未婚・既婚の情報や病歴、妊娠・出産歴、月経周期、初潮・閉経時期、家族歴などです。

乳がんの検診2:視触診

医師が乳房を目視や手で触れて観察します。しこりやリンパの腫れ、乳頭からの分泌物の有無などの状況を確認します。これを視触診といいます。針や薬、放射線を使用しないので体に負担が少ない検査方法ですが、しこりが小さい場合は発見が難しいこともあります。また、視触診を行わず、次のステップである画像検査を実施するケースもあります。視触診では十分な情報は得られませんので必ず画像検査を受けるようにしてください。

乳がんの検診3:マンモグラフィ検査

乳がんの早期発見に欠かせない検査が「マンモグラフィ検査」です。マンモグラフィはX線(放射線)を利用した画像診断装置で、しこりを感じることができない石灰化した病変を発見することが可能です。
国立がん研究センターの資料によると、マンモグラフィ検査による死亡率減少効果(40~74歳)は25%であることが証明されているなど、乳がん検査においてはとても大切な検査だといえるでしょう。

一方、人体には影響しない程度ではあるものの、放射線を利用するため妊娠中の女性には推奨されていません。
また、撮影時に2枚のアクリル板で乳房を挟む必要があり、痛みを感じてしまう女性もいます。痛みを強く感じる人は、撮影技師に緩めてもらう、あるいは3Dタイプのマンモグラフィ機器を選択されるといいでしょう。

※出典:国立がん研究センター「乳がん検診」

乳がんの検診4:超音波(エコー)検査

マンモグラフィ検査に適さない妊娠中の女性でも受けられる画像診断が「超音波(エコー)検査」です。超音波を乳房に当てて、波の反響によって画像に現れる影や濃淡、形などからしこりを発見するほか、良性腫瘍と乳がんの判別も可能です。

ベッドに仰向けになって、プローブと呼ばれる器具を乳房に当てて検査を行うのでマンモグラフィ検査のように痛みを伴うことはありません。
また、マンモグラフィ検査では難しい「乳腺が発達している若い女性」や「乳腺が密集している女性」の良性、悪性腫瘍を判定しやすいのも特長です。ただし、プローブを当てなかった場所にがんが潜んでいる可能性や検査技師の技量による影響を受ける検査といえます。超音波検査はマンモグラフィ検査のように死亡率減少効果の有無はまだ実証されていません。

乳がんの検診5:細胞診

画像検診でしこりや石灰化が発見された場合、乳房から細胞もしくは組織を採取し、顕微鏡でがん細胞を確認する検査が行われます。
「細胞診」はその方法の1つです。とても細い注射器を乳房に刺して、画像診断で見つかった病変部分の細胞を吸引する「穿刺吸引細胞診」が主に採用されています。
局部麻酔が必要ないほど体への負担が軽く、さらに検査にかかる時間も10分程度と短いのがメリットです。
一方、細胞診は採取可能な細胞が少ないため「識別困難」などの判定が出てしまうこともあります。その場合や確定診断の際は、組織診と併せて実施することもあります。

乳がんの検査6:針生検(組織診)

針生検は細胞よりも大きな乳房の組織を採取する検査です。通常、マンモグラフィや超音波検査で採取部位を確認しながら検査が実施され、利用する機器によって「コア生検」と「吸引式乳房組織生検(マンモトーム生検)」の2種類に大別できます。

コア生検で採取できる組織は通常1本で、病変部の組織を切り取って顕微鏡で検査します。対して吸引式乳房組織生検は、細胞診よりも太い針で病変組織を吸い取って採取する方法です。
いずれも細胞診よりも傷が大きくなってしまいますが、より多くの細胞を採取できるので良性・悪性の判定が容易のほか、詳細な組織型まで診断可能です。

定期検診とセルフチェックが早期発見のスタート地点

乳がんと確定診断されるまでの一般的な流れと、各検査の内容を紹介しました。検査の種類や目的は様々ですが、しっかりと検査に協力することで悪性・良性の判別の早期判別だけでなく適切な治療も早く受けられることにもつながります。
乳がんはステージⅠで見つかればほぼ完治できる病気です。日本人の検診受診率はアメリカの半分程度にとどまっています。大切な体です。定期的な検診を受けていきましょう。