女性のがん情報。子宮頸がんや乳がんが占める割合はどのくらい?
国立がん研究センターによると、日本人が一生のうちで「がん」と診断される確率は男女ともに50%以上とされています。2人に1人ががんになる現代では、健康なうちから正しい知識を得て対策を行う必要性が高いといえるでしょう。
そこで今回は各専門機関の統計をもとに、特に女性に関わるがんの情報をまとめました。厚生労働省が検診を推奨しているがんについても紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
統計で知るがんのイマ
代表的ながん統計には「罹患データ」と「死亡データ」があります。いずれもリアルタイムで計測されているわけではなく、通常、罹患データは2~3年、死亡データは1~2年ほど遅れて発表されることが多いです。
そのため、2022年4月現在は罹患データは2018年、死亡データは2020年が直近の数値となっています。まずは男女を含めた全体像を確認してみましょう。
■がんの罹患に関するデータ(2018年)
・新たに発見されたがんは980,856例。うち男性は558,874、女性421,964
・一生のうちでがんと診断される確率は男性が65.0%、女性が50.2%
・がんの罹患数の順位(部位別)
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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男性 | 前立腺 | 胃 | 大腸 | 肺 | 肝臓 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 |
総数 | 大腸 | 胃 | 肺 | 乳房 | 前立腺 |
■がんで死亡した人に関するデータ(2020年)
・死亡者数は男性が220,989人、女性は157,396人。合計378,385人
・死亡率は男性26.7%、女性は17.9%
・がんの死亡数の順位
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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男性 | 肺 | 胃 | 大腸 | 膵臓 | 肝臓 |
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 乳房 | 胃 |
総数 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 |
女性の罹患数は乳房がトップで死亡数も4位と高いことが伺えます。また、子宮にがんを患った人も5位と多いことも注視すべきポイントといえるでしょう。女性に関わるデータを表にまとめたので確認してみましょう。
■女性にかかわるがんのデータ
・新たに発見された数:421,964例
・一生のうちでがんと診断される確率:50.2%
・死亡者数:157,396人
・死亡率:17.9%
・部位別の罹患数、死亡数
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | ||||||
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罹患 | 乳房 | 93,858人 | 大腸 | 65,840人 | 肺 | 40,777人 | 胃 | 39,103人 | 子宮 | 28,076人 |
死亡 | 大腸 | 24,070人 | 肺 | 22,338人 | 膵臓 | 18,797人 | 乳房 | 14,650人 | 胃 | 14,548人 |
※出典: 国立研究開発法人国立がん研究センター「最新がん統計」
※出典:公益財団法人日本対がん協会「がんの部位別統計」
厚生労働省が検診を推奨する「5つのがん」
がんについてあまり知識がない人のなかには、どのがんから情報収集して備えるべきか分からない方もいると思います。そのようなときは、ぜひ厚生労働省が指針で検診を勧めている5つのがんに注目してみてください。
・胃がん
・肺がん
・乳がん
・大腸がん
・子宮がん
今回は上記の5つのがんのなかから、特に女性と関わりが深い「乳がん」と「子宮頸がん」について紹介します。
※出典:厚生労働省「がん検診の種類について」
■女性で最多罹患数の「乳房・乳がん」
年間の罹患数は9万人超、死亡者数も1万4000人を超えている女性にとっては特に注意すべきがんです。前述のとおり、死亡者数は全体で5位ではあるものの、25~64歳の年代に限ると1位になっていることをぜひ覚えておいてください。
一方、早期発見できれば生存率は他のがんと比べると高めなため、定期的な検診とセルフチェックがとても重要といえるでしょう。
■若い世代の死亡率が高い「子宮頸がん」
子宮に関わるがんは発症する部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」に大別できます。なかでも子宮頸がんは年間で約1万1000人が診断されており、毎年約3000人の女性が死亡しています。
特に若い世代の死亡率が高いので「マザーキラー」と呼ばれています。主な原因となるHPVウイルスのワクチン接種率が低いことから、先進国のなかでは日本が突出して診断数が多く、2010年代では10万人に1人が診断されるなど増加傾向にあります。
このような状況を受け、厚生労働省は2022年4月からHPVワクチンの定期接種の積極的な推奨を約8年ぶりに再開するよう全国の自治体に通知しています。今後は子宮頸がんやHPVを巡る情勢が変化すると考えられるので、ぜひ注視することをおすすめします。
※出典:国立がん研究センター「子宮頸がん(しきゅうけいがん)」
※関連記事:子宮頸がん(マザーキラー)のワクチンは受けるべき?副作用や後遺症、費用や推奨年齢などの実情とは
※関連記事:マザーキラー(子宮頸がん)とは。原因となるHPVとワクチン接種のすすめ
正しい情報を理解し、適切に対応しましょう
がんを巡る情勢と特に女性が注意すべき「乳がん」、「子宮頸がん」について紹介しました。ワクチン接種や死亡率など年によって情報が更新されることもあります。日本人にとって身近な病気であるがんに備えるために、日常生活のなかでもぜひアンテナを張って定期検診やセルフチェックなどを適切に行うように心がけましょう。