logo

子宮頸がん検診の検査内容|頻度・費用・やり方について解説

国内で毎年、約3000人の女性が亡くなっているのが「子宮頸がん(マザーキラー)」です。子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染がきっかけとなり、5~10年かけてCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)という状態を経て、発症することが明らかになっています。早期発見・早期治療できれば5年生存率が90%を超えるものの、CIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺癌)の状態では症状がほとんどありません。
そのため、定期的に検診を受ける重要性が高い病気といえるでしょう。今回は、子宮頸がんの検診の基本情報や基本的な流れなどについて解説します。

※関連記事:マザーキラー(子宮頸がん)とは。原因となるHPVとワクチン接種のすすめ

子宮頸がんの検診の種類

2025年現在、子宮頸がんは「細胞診」と「HPV検査」の2種類があり、それぞれ検査内容はもちろん、推奨されている検診の頻度も異なります。まずは各検査の特徴を確認してみましょう。

子宮頸がんの細胞診

細胞診は、身体の中にある細胞を顕微鏡で観察して状態を確認するがんの代表的な検査方法の1つです。細胞診は、摂取する細胞の部位や取り方によって、さらに剥離細胞診、穿刺吸引細胞診、擦過細胞診の3種類に大別でき、子宮頸がんは「擦過細胞診」が採用されています。具体的には、子宮頸部をブラシなどで擦って細胞を摂取し、顕微鏡で異常な細胞の有無をチェックします。一般的な「子宮頸がんの検診」としては、問診・視診・細胞診(もしくは内診)をセットで行うことを指すケースが多いです。
上記の子宮頸がんの検診は、20歳以上の女性で2年に1回の頻度で行うことが厚生労働省から推奨されていることも覚えておきましょう。
細胞診の結果、異常がなければ2年にまた検査し、もし異常が見つかった場合は直ちに医療機関を受診し、精密検査を受ける流れとなります。

※出典:日本医師会「子宮頸がん検診の検査方法

HPV検査

子宮頸がんを発症するきっかけとなるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染の有無を確認するための検査です。HPVに感染していることが分かれば、将来的に子宮頸がんになるリスクを把握できるのが大きなメリットといえるでしょう。検査内容は、細胞診と同じく子宮頸部の細胞をブラシなどで採取し、DNAを調べてウイルス感染の有無を確認します。100種類を超える型があるHPVのなかから、特に子宮頸がんに移行しやすい13種類(特に日本人が移行しやすいのは16型・18型)の感染の有無をチェックするため「ハイリスクHPV検査」と称することもあります。
HPV検査は細胞診で採取した細胞(検体)でも確認できるため、海外では併用である「トリアージ精検」を推奨している国や地域も存在します。現在、国による導入が検討されているHPV検査のみを行う「HPV検査単独法」の場合、およそ5年に1回のペースで検診を受けることが推奨されています。

※出典:厚生労働省「子宮頸がん検診へのHP V検査単独法導入について

子宮頸がん検診の受け方

子宮頸がん検診は、自治体による補助を受けられる「健康診査制度」に該当し、厚生労働省が定めた「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」に基づいて実施されています。そのため、各自治体の指導に則った対象、期間、検診・医療機関などで受診することが一般的です。基本的に検診の費用は無料もしくは一部自己負担になり、自己負担額はおよそ2000円程度になるケースがほとんどです。自治体の補助を受けて検診するためには「20歳以上の偶数年齢」や「検診チケット」が必要になる場合もあるので、詳細は自身が住んでいる自治体のホームページなどで確認してください。

子宮頸がん検診の流れ

最後に、一般的な子宮頸がん検診の流れを確認しましょう。
まず住居がある自治体から「子宮頸がんの検診のお知らせ」というハガキが届きます。ハガキには子宮頸がんの情報や検診の流れなどが記載されているほか、自治体によっては無料のクーポン券も付いているケースがあるので、なるべく早めに確認して必ず大切に保管してください。
後日、各自治体が指定する検診・医療機関で前述した問診・視診・細胞診(もしくは内診)を受ける流れとなります。
ここまでの子宮頸がんの検査はいわゆる「一時検診」であるため、異常が見つかり「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を実施できる婦人科医療機関を受診してください。精密検査ではコルポスコープ(腟拡大鏡)を使って、子宮頸部を詳しく調べる「コルポスコープ診」のほか、HPV検査などを組み合わせて実施されます。そのほか、超音波検査やCT・MR検査などを行うケースもありますが、いずれにしてもがんだと確定した場合は治療に進む流れとなります。

適切な子宮頸がん検診が自身の命を守る

子宮頸がんの検診の種類と内容、流れについて解説しました。子宮頸がんは正しく検診すれば、金銭的な自己負担を抑えながら早期発見・早期治療につなげることができる病気です。20歳以上の女性と非常に幅広い方が対象になっているので、ぜひ積極的に検診して自分の命を守りましょう。

※関連記事:子宮頸がんの診断後の日常生活の注意点。食事・運動・性生活はどうする?