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子宮頸がんの診断後の日常生活の注意点。食事・運動・性生活はどうする?

膣から子宮につながる入り口(子宮膣部)に発生するがんのことを「子宮頸がん」といいます。子宮頸がんによって毎年、日本人の女性が約3,000人亡くなっている一方、ステージ1の生存率は93.6%と非常に高く、早期発見できれば死亡リスクを大きく減らせることも明らかになっています。

そのため、子宮頸がんと正しく向き合うためには「子宮頸がん」と診断された後から治療後までの流れやポイントを理解しておく必要があるのではないでしょうか。今回はその概要をまとめたので内容を確認して、子宮頸がんについて理解を深めてみましょう。

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子宮頸がんの治療の流れ

子宮頸がんは早期の自覚症状がほとんどありません。そのため、定期的な検診による診断のほかは、進行することで発現する異常なおりものや不正出血、下腹部の痛みを訴えて来院するケースが多いです。その後、細胞診検査や病理組織検査などを行い「子宮頸がん」と診断されると、子宮の周囲の組織やリンパ節への転移を調べるために内診やCT・MRI・PETといった画像検査を実施して、がんの進行期(ステージ)が決定されます。

がんの進行期や患者の年齢、妊娠・出産の希望の有無といったさまざまな要素を考慮したうえで、手術療法、放射線療法、化学療法のいずれか、もしくは組み合わせて最適な治療法を選択しなければなりません。そして、選択した治療によってその後の生活の送り方も大きく異なります。一般的に早期に子宮頸がんを発見して治療するほど子宮を温存できる可能性が高まり、体の負担も小さくなることをぜひ覚えておきましょう。

子宮頸がんの治療が終了すると「経過観察」として約7年間、定期的に通院して検査を受けるのが一般的です。検査内容は内診や腟鏡診などが一般的で、再発の可能性が高い場合は画像検診が行われることもあります。再発のリスクが大きい治療終了から約2年間は3〜6カ月。その後の5年間は半年〜約1年の間隔での検診が推奨されています。

※関連記事:子宮頸がんの予防と早期発見の重要性。ワクチン接種や検診が大切な理由とは?

子宮頸がんの治療後の食事・運動・性生活

子宮頸がんの治療後は、基本的に食事は栄養バランスを考えたうえで美味しく、楽しく食べられるメニューであれば問題ありません。適度な運動も推奨されています。

一方、性行為については選択した治療法によって注意点が異なります。例えば、子宮摘出手術を行った後でも性行為は可能であるものの、術前と比べると出血しやすくなるほか、感染症にかかるリスクが高まる点が懸念されます。放射線療法も性行為は基本的に可能です。ただし、膣粘膜が炎症するリスクの増大や女性ホルモンの減少といった放射線の影響も考慮しなければなりません。さらに抗がん剤による化学療法を受けている場合、感染症にかかりやすい状態になっているので性行為は推奨されていません。いずれにしても、センシティブな話題だからこそ、治療後の性行為に対する心理的な変化も踏まえて主治医やパートナーと話し合い、悩みを一人で抱え込まないようにするのが大切です。

子宮頸がん治療の日常生活への影響

子宮頸がんを手術療法もしくは放射線療法によって治療した場合、体の変化によって手術前にはなかった症状が起こる可能性があります。

例えば、リンパ節を切除したケースでは足や下腹部がむくんでしまう「リンパ浮腫」が起こることがあります。リンパ節を切除したことで「リンパ液」の通り道が少なくなるのが原因でむくんでしまうとされており、確実な予防法はまだ見つかっていません。ただ、日常的な規則正しい生活習慣やスキンケアなどが、リンパ浮腫の予防につながると考えられています。

手術療法の一種である「広汎子宮全摘出術」によって基靭帯を切除すると、尿漏れや尿を出しにくくなるといった「排尿障害」が起こりやすくなります。手術後から数ヶ月で症状は改善されるものの、以前と同じになることは困難なので排尿の間隔、仕方などを注意して生活する必要があるでしょう。基靭帯の切除によって便秘になりやすくなるケースもありますが、排尿障害と比べると発生する頻度は少なく、短期間で回復する傾向です。

さらに手術や放射線によって卵巣の機能が喪失すると、女性ホルモンが減少して「卵巣欠落症状」を発症するリスクが高まります。卵巣欠落症状は、だるさやイライラを感じやすくなるほか、頭痛、肩こり、食欲低下、動悸といった更年期障害と類似しているのが特徴です。若年層ほど症状が強まる傾向があるため、リラックスしやすい環境をつくるといった日常的な工夫のほか、必要に応じてホルモン療法薬などを処方してもらいましょう。

※出典:がん 情報サービス「子宮頸がん 療養

子宮頸がんの「予防」と「早期発見」を意識しましょう

子宮頸がんは生存率の高い病気であり、さらに「ワクチンで予防できる唯一のがん」でもあります。過度に意識しすぎる必要はありませんが、正しい情報をもとになるべく負担を少なくかつ適格に子宮頸がんに対して備えましょう。

※関連記事:子宮頸がんワクチンの接種が日本で遅れている理由。正しい情報を入手するために